こんにちは、コミック担当の書店員ハルカゼです。
先日「マンガ大賞2024」二次選考ノミネート作品が決まりました!
書店員として、コミック担当として、それから一漫画好きとしてどの作品が受賞するのか、楽しみで仕方ありません!
今回で17回目となるマンガ大賞二次選考にノミネートされた作品はこちら!
神田ごくら町職人ばなし 坂上暁仁
君と宇宙を歩くために 泥ノ田犬彦
正反対な君と僕 阿賀沢紅茶
環と周 よしながふみ
ダイヤモンドの功罪 平井大橋
天幕のジャードゥーガル トマトスープ
ひらやすみ 真造圭伍
ファミレス行こ。 和山やま
平和の国の島崎へ 濱田轟天、瀬下猛
黄泉のツガイ 荒川弘
(作品名あいうえお順・敬称略)
マンガ大賞2024は、2023年1月1日から12月31日までに単行本が発売された作品のうち、最大巻数が8巻までのマンガ作品(過去にマンガ大賞を受賞した作品は除く)から、一選考員が最大5作品に投票し、得票数上位10(同率順位含む)作品を二次ノミネート作品としています。なお選考対象には電子書籍(最大巻数が8巻相当までの作品)も含みます。
(「マンガ大賞2024」公式サイトより抜粋)
いずれも面白い作品ばかり、どの漫画が大賞を受賞してもおかしくないタイトルが出そろいました。
各作品の注目度、見どころポイントを紹介していきたいと思います。
『神田ごくら町職人ばなし』
『神田ごくら町職人ばなし』 坂上暁仁 リイド社
「このマンガがすごい!2024」オトコ編第3位、「THE BEST MANGA 2024 このマンガを読め! 」第1位と話題沸騰中の本作。
江戸・神田を舞台に桶職人、刀鍛冶など職人の匠の技、心意気を圧倒的筆致で描いた漫画作品。
描写がとても上手で、実際にその時代の一部分を切り取ったかのような、細かい部分まで「江戸」を感じるくらい精緻な作品です。
一見すると歴史ものと思われてしまい、興味ないよという方もいるかもしれませんが、そんな方にこそぜひ読んでほしい一作。第一話が桶屋の女性職人の話からはじまるんですが、とてもかっこよすぎて。
第二話の刀鍛冶のエピソードは、最後に思わず感嘆の息を漏らしました。こちらの二話は「トーチWeb」にて読むことができます!
一話完結の物語が中心ですが、後半にかけて左官のエピソードが続きます。全体を通してでもありますが、職人の意地と矜持がぶつかり合う、素晴らしいドラマになっていますので、ぜひ単行本で読んでほしい。
あとストーリーには関係ないところですが、表紙の紙質も触り心地がよくて好きです。
こんな方におススメ → 今までとは違うジャンルの作品を探している
『君と宇宙を歩くために』
『君と宇宙を歩くために』 泥ノ田犬彦 講談社
何をしても続かない不良の小林。彼のクラスに変わり者の宇野が転校してくる。
宇野は立て続けに話しかけられてしまうと硬直してしまったり、物事を同時に行うことが得意ではなかった。
そんな宇野を知るほどに、小林は彼の生き方に惹かれ、自分も変わろうとしていく。
小林と宇野の、奇妙な友情というか、正反対な二人の生き方が混ざり合うところがたまらないですね。
1話目でぐっと来ました。とても心を動かされる物語だなと。
一人では気づけなかったものを、ともに過ごすことで気づけることもある。一人で歩くのが難しくても、誰かと一緒なら前に進むこともできる。
自分も、命綱とまではかなくとも誰かの気づきの手助けになれるような生き方がしたいですね。温かくて、優しい気持ちになれる作品です。
二人が今後宇宙をどう歩いていくのか。楽しみでなりません。
「コミックDAYS」で試し読みすることができますので、ぜひ!
こんな方におススメ → 心動かされる物語を求めている
『正反対な君と僕』
『正反対な君と僕』 阿賀沢紅茶 集英社
本作は2023年にも同賞で3位入賞し、これまでにも「このマンガがすごい!2023」オトコ編第9位、「全国書店員が選んだおすすめコミック2023」で12位と数々の賞で名が挙がっている。
集英社の漫画アプリ「ジャンプ+」の総合ランキングに入る人気作。
余談だが、阿賀沢紅茶先生が描く別の作品『氷の城壁』も「アニメ化してほしいマンガランキング2023」で2位にランクイン。
周りの目が気になってしまい空気を読んでしまいがちの鈴木。彼女は、誰に対しても自分の意見を物おじせず言える谷に対し片思い。
正反対な二人が互いに絆を深めあう、等身大ラブコメディ!
こんな学生時代を過ごしたかった!!!
そんなふうに思ってしまうくらい、楽しくて、甘酸っぱいストーリーがもう本当に素晴らしいです。
この作品のよさは、自分の感じた感情にちゃんと名前をつけてあげるというか。こういう理由でそう感じたというのを明確に伝えて、正反対な二人ではあるけどお互いに納得して、共感して、前に進んでいくところ。
ちゃんとコミュニケーションをとっているから、多少の誤解はあれどお互いに前へ進んでいける。
そっか、学生時代にちゃんともっとコミュニケーションをとっておけばこんなことには……と思わずにはいられない笑
ラブコメでありながら、コミュニケーションの大切さを垣間見ることができる素晴らしい作品です。と言いながら、面白いし尊くてニヤニヤ読んでしまいましたとさ笑
第一話目はこちらから! 絶対続きが読みたくなる作品です!
こんな方におススメ → 最新の面白くて尊いラブコメ漫画を読みたい!
『環と周』
『環と周』 よしながふみ 集英社
『西洋骨董洋菓子店』、『大奥』、『きのう何食べた?』など数々の代表作を持つよしながふみ先生の最新作品が二次選考ノミネート。
2008年には『フラワー・オブ・ライフ』で3位、『大奥』で6位、『きのう何食べた?』で12位を同賞で入賞。いずれも映像化されており、今作も発売からすぐに話題になった。
中学生の娘が同級生の女の子とキスをしているのを目撃してしまった母親。そのことを夫に相談するが、彼もまた学生時代、同級生の男の子を好きになったことがあり――。
家族、恋、友情。様々な好きのかたちを描くオムニバス作品。
切ない。本当に切なすぎる。
感想を語るだけでネタバレになってしまいそうなので、もうとにかく読んでください。
一巻で完結しています。漫画というより小説や映画のような、心から満足できたという読後感。
ページを繰る手が止まらず、最後まで読み切ってしまい、読み終えて一息ついたらまた一ページ目から読みたくなるような作品です。
とにかく読んでみてください。集英社のページで試し読みができます!
こんな方におススメ → 一冊で満足できるくらい充実した読後感を得たい
『ダイヤモンドの功罪』
『ダイヤモンドの功罪』 平井大橋 集英社
「このマンガがすごい!2024」オトコ編第1位も受賞した話題作。
単行本発売前からメディアで取り上げられた、異色の野球マンガ。
何をしても一番を取ってしまう、才能に恵まれた綾瀬川次郎。自分のせいで誰かが悔しい思いをする。誰かが夢を諦めてしまう。だが、そんな彼が出会ったのは、弱小野球チーム「バンビーズ」。
彼はそのチームで、仲間と出会い、みんなで楽しく野球をしていたが……
ここ最近読んだ野球マンガ、スポーツマンガのなかでもとくに面白くてお気に入りの作品です。
主人公が非凡な才能を持っていたり、栄光や挫折を味わったり。スポーツマンガにドラマを生む設定や展開ですが、この作品はとことんリアルで残酷。
今まで読んだなかでも、とくに新しい切り口だと感じました。
野球マンガでありながら、人間ドラマを見ているような。さながら群像劇のような、主人公にもその周りにも感情移入できるストーリーになっています。
まさに題名のごとく「ダイヤモンドの功罪」。原石の光と影を切り取った、輝かしくも残酷な物語を味わってほしいです。
一話は集英社のページから読むことができます。二話目以降も、アプリなら途中まで無料で読むことができるようです!
こんな方におススメ → 新たな切り口のスポーツマンガを探している
『天幕のジャードゥーガル』
『天幕のジャードゥーガル』 トマトスープ 秋田書店
2023年には同賞で5位、「このマンガがすごい!2023」ではオンナ編第1位獲得。
奴隷として売られた少女・シタラは買い手である学者一家から逃亡を試みるも、知識の大切さを説かれ、その家で働きながら勉強することに。
それからしばらく経ち、村が襲撃を受ける。襲ってきたモンゴル兵に捕らえられた彼女は、復讐を誓うのだった……。
最初は表紙のかわいらしい絵柄から、歴史ものと聞いていたけど読みやすそうだなと思っていました。
ところが、衝撃的すぎるくらい重厚なストーリーで、いい意味で騙されました。ストーリーは重たいけれど、絵柄の可愛さと物語のテンポのよさで一気に読めます。
歴史ものなので、史実を知っているとおそらくもっと楽しめるのかもしれませんが、いかんせん私は無知なもので、漫画を読みながら「こういう感じだったのかな?」と勉強している感じです笑
まさしく知識って大事ということを思い知らされつつ、ただ漫画を一から楽しみたい気持ちもあるので史実はまだ調べないようにしています。
モンゴルをモデルにした漫画はいくつかありますが、どれも視点が違っていたりするので面白いですね。
歴史ものが好きだという方には絶対楽しんでもらえると思いますので、一度読んでみてください!
一話目はこちらから読めます!
こんな方におススメ → 読みやすい歴史漫画に興味がある
『ひらやすみ』
『ひらやすみ』 真造圭伍 小学館
2022年に同賞で3位入賞、「全国書店員が選んだおススメコミック2022」で6位入賞。
身寄りのないおばあちゃんからもらった平屋。そこに住むのはフリーターで自由気ままな生活を過ごす生田ヒロト。共同生活するいとこや、周りの人たちとの日常を描いたホームドラマ。
メディアでも漫画好き芸人やタレントにも軒並み絶賛されている本作。
登場人物たちが各々悩みを抱えていて、悩みがなさそうに自由で気楽に過ごすヒロトを見るとなんだか無性に腹立たしく思えてきて、あでもなぜか彼のもとに集まってきてしまう。
ヒロトの人柄のよさが惹きつける理由ではありますが、私もまたその人柄に惹かれてしまった一人の人間なのかもしれません。
自分の人生観や価値観に対し、違う視点を提示してくれるような。それでいて、心を洗ってくれるような。
日常系作品でありながら続きが待ち遠しくなる素敵な作品です。
第一話はこちら!
こんな方におススメ → 日々の生活のなかに足りないものを見つけたい
『ファミレス行こ。』
『ファミレス行こ。』 和山やま KADOKAWA
2020年 『夢中さ、きみに。』7位
2021年 『カラオケ行こ!』3位 『女の園の星』7位
2022年 『女の園の星』4位
2023年 『女の園の星』3位
過去の「マンガ大賞」でも執筆作品は軒並みノミネートさせている和山やま先生の最新作。
和山先生は大学生の時に応募した作品がちばてつや賞一般部門入選、2020年には『夢中さ、きみに。』が「手塚治虫文化賞」の短編賞を、「第23回文化庁メディア芸術祭マンガ部門新人賞」を受賞。
「このマンガがすごい!2021」では『女の園の星』がオンナ編第1位受賞とヒットを連発させている。
『夢中さ、きみに。』はドラマ化も行われ、今回ノミネートされた『ファミレス行こ。』の前作である『カラオケ行こ!』は現在映画公開中。和山作品の躍進が止まらない!
『カラオケ行こ!』から4年――大学一年生になった岡は、ひょんなことからファミレスでバイトをすることに。そしてまた奇妙で個性豊かな人たちと縁がつながっていく。
まさか『カラオケ行こ!』の続編が読めるとは……。
和山先生の作品は全部読んでいますが、いずれも面白い。アクションで話がガンガン進んでいく物語ではなく、静かでゆったりとしたテンションで話が進んでいきますが、そのなかで繰り広げられるシュールな展開がとてつもなく好きです。
何気ない日常に超個性的な登場人物。こんなにも面白くて、何度読んでも笑ってしまう中毒性。
『ファミレス行こ。』ではその魅力を損なわず、そのうえで寂し気な雰囲気をどこかで感じさせてくれる物語でした。
上巻のラストでは衝撃を受け、今すぐにでも続きが読みたいんですがいつ発売されますか……?
『カラオケ行こ!』を読んでいなくても楽しめるし、読んでいたらもっと楽しめる一作です。和山作品の沼にハマってください!
試し読みはこちら!
こんな方におススメ → シュールかつ抒情的な物語で満たされたい
『平和の国の島崎へ』
『平和の国の島崎へ』 原作:濱田轟天 作画:瀬下猛 講談社
「このマンガがすごい!2024」オトコ編第5位!
幼少期に国際テロ組織に拉致され、戦闘工作員として活動していた島崎。その組織から脱出し日本に帰国した彼は、平和を手に入れることができるのか――
ものすごくバイオレンスな設定とストーリーなのに、どこかほっこりする描写やクスリと笑えるシーンのギャップがすごい!
島崎が強くてかっこよくて、バトルシーンのテンポのよさがしびれますね。爽快感。映画『96時間』を感じさせるアクションがたまらなく好きです。
島崎の人柄のよさ、そして当初は彼を遠巻きに煙たがっていた人たちが彼を認めていく過程。そのなかで彼の過去が描かれつつ、そのなかにもまだまだ謎が残っていたり、今後の伏線が隠れていたり。
最初は怖いおじさんが表紙なのでどんな内容なんだろうと身構えていましたが、気が付いたら一気に最新刊まで読み進めてしまうくらいどっぷりハマってしまいました。
アウトローな世界観を味わいたい方にも、アクションでスリリングなストーリーを読みたい方にもおススメです!
こんな方におススメ → 爽快なアクションを魅せてくれる作品が読みたい
『黄泉のツガイ』
『黄泉のツガイ』 荒川弘 スクウェア・エニックス
荒川弘先生は『銀の匙 Silver Spoon』で2012年に同賞で大賞を受賞している。
『鋼の錬金術師』『百姓貴族』、『銀の匙 Silver Spoon』、『アルスラーン戦記』と代表作多数。いずれも映像化されており、人気を不動のものとしている。
本作は「次に来るマンガ大賞2023」で2位、「このマンガがすごい!2024」オトコ編第2位、「全国書店員が選んだおススメコミック2023」で2位と話題に上り続けている。アニメ化も期待される人気作。
とある山奥の集落で、狩猟をしながら暮らしているユル。妹のアサは村の奥にある牢の中で「おつとめ」を果たしていた。
なぜ妹は牢に閉じ込められているのか。この村に隠された謎とは――。
完全に自分語りになってしまいますが、私ハガレンの大ファンでして。
単行本と完全版を家に両方揃え、その昔一番くじで当てたエドとマスタング大佐のフィギュアも飾っていて、ハガレン展に行き、一番好きな漫画を訊かれた時は必ず「『鋼の錬金術師』です!」と答えるくらいのファンなんです(圧)
なのでちょっとこのなかでも贔屓目に見てしまう自分がいまして……だってヨミツガもめちゃくちゃ面白いんですよ。
1話の時点で騙されたし、読み進めて謎が解けていくと「あの場面も……まさか!」と読み返したくなるストーリーテリング。
誰が敵で誰が味方か。そしてツガイバトルという面白さ。二重、三重にも伏線が張り巡らされているようで、続きが楽しみです。
結末読むまでは死ねない。
一話目はこちらから読むことができます!
こんな方におススメ → 目が離せないダークファンタジーに熱中したい
いかがでしたでしょうか、皆さんが気になった作品はありましたか⁉
少しでも気になってもらえるタイトルがあれば、嬉しいです。
マンガ大賞の審査員でもなんでもないただの書店員なので予想をしたいなと。
ズバリ、私の予想は『環と周』です!
純粋に作品が面白かった。そのうえで、心を動かされた、どの世代にも刺さりそうだなと感じた点で言うならば『君と宇宙を歩くために』と迷ったのですが、一巻で完結していて、その完成度の高さが凄まじかったなと。
これはもうビタ当てしたい。皆さんの予想もぜひ聞かせてください!
個人的には荒川先生作品の大ファンなのでヨミツガに取ってほしいです!
「マンガ大賞2024」の発表は3月下旬~4月上旬です。
ぜひノミネート作品を読みつつ、どの作品が受賞するか楽しみにお待ちください!
一マンガ好きとして、皆様と一緒に結果を楽しみに待ちたいと思います!
ではでは、また次回の記事でお会いしましょう!
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